08-11
こういう時代が来るとは…吉永小百合さんと山田洋次監督が感じている「不安」、映画で戦争を語り継ぐ意義
2026-08-11
HaiPress
第15回を迎えた「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」は8、9日、東京・池袋で開催された。9日は治安維持法などで国民が厳しく統制された日米開戦前の日本が舞台の「母(かあ)べえ」(2008年)と、長崎への原爆投下を扱った「母と暮せば」(2015年)の2本が上映された後、山田洋次監督と主演の吉永小百合さんが対談し、戦争の恐ろしさなどを語った。

映画上映後、対談する山田洋次監督㊧と吉永小百合さん(主催者提供)
◆ちっちゃい子どもがいる役、私にはちょっと無理なんじゃ…
山田洋次監督今日はこんなすてきな映画祭に呼んでいただいて、ありがとうございます。池袋っていうのは僕ら青春時代から思い出のある街です。60年以上前、この辺りはヤミ屋や暴力団がたくさんいて、その中にぽつんと演劇の研究所があったんです。
僕も紹介してくれる人があって、芝居っていうのはちゃんと勉強しなきゃだめなんだ、ドラマを理解するためには演劇が分かんなきゃいけないんだってことで、助監督の頃に通ったことがあり、懐かしく思い出します。
吉永小百合さん今日は最初に「母べえ」を見ていただいたと思います。監督から出演依頼をいただいたのはもうずっとずっと前のことで、その時はとってもとってもうれしかったんですけど、「母べえ」はちっちゃい子どもがいる役なんですね。

吉永小百合さん(主催者提供)
私には年齢的にちょっと無理な役なんじゃないかと、監督にお電話したら、監督は「いやあ、あの頃のお母さんはみんな疲れてたんですよ」と、おっしゃったんですね。それで、疲れてるお母さんならできるかなと思って、お引き受けしました。
山田監督うまい言い訳を考えたもんですね(笑)。戦争が間もなく始まるという頃のことを知っている人も、今は少なくなってきているわけです。
真珠湾攻撃から日米の戦争が始まった時は、僕は小学校5年生だったかな。まさに思春期に差しかかっていた頃だから、思い出がたくさんある。その思い出をなぞるように、(原作者の)野上照世さんの日記があって、これは映画にしたいなと企画を立ち上げたわけです。それから十数年以上たって、こういう時代が来るとは予想もしていなかったですよね。
◆世界で唯一の被爆国だからこそ、非核運動の先頭に立つべき
吉永さん何か、こんなことしゃべったらいけないんじゃないかというような、気を付けなきゃいけないようなことが起きてくるんじゃないかという不安はあります。映画の中で、特高(特別高等警察、戦前の秘密警察)役の笹野高史さんがとっても怖くて、ああいう怖い人が出てきてほしくないですね。
山田監督日本は世界で唯一の被爆国で、たくさんの悲惨な例を僕たち日本人は知っている。だから原爆を製造するのはやめよう、なくそうという運動に、日本は先頭に立つべき役割を持っているんじゃないでしょうか。

山田洋次監督(主催者提供)
科学の成果として、人類はついに核エネルギーを作ってしまった。成功の果てに原爆がある。とても悲劇だと思う。それを使うか、使わないかの問題だって、良心的な米国の政治家や学者はずいぶん悩んだろうと思うけれど、結果的に広島と長崎で使われてしまった。
その経過は「オッペンハイマー」という映画で...
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