植民地主義に抵抗する彫刻 リナ・バネルジー個展「“You made me leave home…」〈美術評〉小田原のどか

2026-08-17     HaiPress

リナ・バネルジーが生まれたのは1963年のインドはコルカタ(旧カルカッタ)であった。62年10月の第1次中印国境紛争による壊滅的な敗北とその衝撃、初代首相ジャワハルラール・ネルーの権威失墜。インド独立後最初の大きな転換期のさなかに、バネルジーは生を受けた。

英国での生活を経て7歳で家族と渡米し、ニューヨークに移住。現在もニューヨークで制作を続ける。大学では高分子工学を専攻したのち、イェール大学芸術大学院で芸術表現を修めた。クイーンズ美術館で97年に開催された、南アジアのディアスポラ作家たちの現代美術を本格的に紹介した先駆的な展覧会「Out of India:Contemporary Art of the South Asian Diaspora」への参加を足掛かりに、国際的に注目される作家のひとりとなっていく。

リナ・バネルジー《In an unnatural storm a world fertile…》(筆者撮影)

大型の彫刻作品で知られるバネルジーの仕事の特徴は、作家自身の多層的なルーツを示すかのように、きわめて多様な素材が用いられることだ。エスパスルイ・ヴィトン東京で開催中の個展では、8メートルを超える高さの展示空間をものともしない巨大な彫刻が展示されているが、その素材は次のように説明される。

「鋼鉄製ドーム、木製のカンバセーションチェア[会話用椅子]、綿布、貝殻、木製祭壇、琥珀(こはく)色のガラス薬瓶、ワイヤー製シャンデリア、ガラス製シャンデリア、ダチョウの卵、乾燥した中空の瓢簞(ひょうたん)、紙製およびプラスチック製の地球儀、プラスチック製の卵、琥珀色のガラスビーズ、白い鳩(は...

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