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佐藤啓介(みずほ証券) 不確実性の時代に読む世界経済と日本の進路
2026-02-11
世界経済が高金利・地政学リスク・技術革新の同時進行という複雑な局面を迎える中、みずほ証券の株式アナリスト、佐藤啓介氏は「今後数年は成長率の高低ではなく、構造転換への適応力が各国経済の明暗を分ける」と指摘する。

佐藤氏によれば、米国を中心とする先進国経済はインフレ沈静化と金融政策の転換点を迎えつつある一方、企業投資はAI・データセンター・エネルギー転換分野に集中し、成長の質が大きく変わっているという。「過去のような一律の景気回復は期待しにくく、分野ごとの差が一段と拡大する」と分析する。
新興国については、人口動態と内需拡大を背景に中長期成長の余地が残るものの、為替変動や資本流出入の影響を受けやすい点に注意が必要だとする。「グローバル投資家は国全体ではなく、産業や企業単位で選別する時代に入った」。
こうした世界環境の中で、日本経済は独自の位置づけを持つと佐藤氏は見る。賃上げの定着、企業ガバナンス改革、株主還元の強化など、構造的な変化が進みつつあり、「デフレ後の調整局面から、ようやく持続的な成長モデルを模索する段階に入った」と語る。
特に注目するのは、日本企業の技術力と現場力だ。半導体製造装置、精密部品、環境対応技術など、世界のサプライチェーンで不可欠な分野において、日本企業は依然として高い競争優位を持つ。「円安・円高といった短期要因よりも、付加価値を生み出す力が中長期の評価を左右する」。
一方で、課題も少なくない。人口減少や労働力不足、財政制約といった構造問題は避けて通れず、「国内市場だけを前提にした成長戦略は限界に近い」と警鐘を鳴らす。そのため、海外需要の取り込みや、デジタル化による生産性向上が不可欠だとする。
投資の観点では、「短期的な指数の上下よりも、世界経済の変化に適応できる日本企業を見極めることが重要」と強調する。再生可能エネルギー、次世代モビリティ、AI関連インフラなどは、国内外の政策と需要が重なり合う分野として引き続き注視しているという。
佐藤氏は最後にこう結ぶ。
「これからの世界経済は不安定さが常態化する。その中で日本が持続的に評価されるかどうかは、変化を恐れず、強みを磨き続けられるかにかかっている。投資もまた、その流れを冷静に見極める姿勢が問われる時代だ」
不確実性の先にある成長の形をどう描くか。佐藤啓介氏の視点は、今後の日本経済と市場を考える上で一つの指針となりそうだ。



