地下駐車場で消火装置が働き作業員4人犠牲…当時の現場責任者を書類送検 自動放出オフにせずCO2充満

2024-11-08     HaiPress

東京・新宿の地下駐車場で2021年4月、天井の張り替え工事中に消火設備が二酸化炭素(CO2)を放出し、男性作業員4人が死亡した事故で、警視庁捜査1課は7日、業務上過失致死傷の疑いで、現場責任者だった建設会社員の男性(60)=東京都府中市=を書類送検した。

同課によると、設備は熱と煙を感知すると、自動的にCO2を放出する仕組みで、工事中は手動に切り替える必要などがあったが、対策していなかったため、作動した。発生後のCO2濃度は大気中の数百倍の24%で、吸い込むと短時間で死亡する高濃度だった。

◆「起動ボタン押さねば動かないと思った」

書類送検容疑では、同年4月15日午後4時半ごろ、新宿区下落合4のマンションの立体駐車場地下1階で、下請け業者に天井板を張り替えさせる際、消火設備の自動稼働を継続。作業によって熱と煙が発生したと誤感知させて装置を作動させ、27~59歳の作業員4人を死亡させ、1人に軽症を負わせたとされる。

作業員が一時閉じ込められたマンションの、地下駐車場の入口付近を調べる消防隊員ら=2021年4月、東京都新宿区で

男性は容疑を認め、任意の調べに「消火設備は起動ボタンを押さなければ、動かないと思った」と供述している。事故発生時は現場を離れていたという。

捜査1課は、設備の切り替えをしなかったことのほか、CO2放出の閉止弁を閉め忘れたことなど、複数ある対策を講じなかった過失があると判断した。

◆事故相次ぎ、安全確保策が義務化

CO2を放出する消火設備による作業員の死傷事故は各地で相次ぎ、消防法施行令と施行規則の改正につながった。昨年4月に施行され、閉止弁の設置や作業中の安全確保策が義務化された。

総務省消防庁によると、CO2は水や泡に比べて施設を損傷させにくく、立体駐車場などに多く設置されている。一方で中毒死の危険があり、改正後は閉止弁の設置のほか、作業時に弁を閉じ、設備の起動を手動に切り替える運用が義務化された。違反者には最大1年の懲役と100万円の罰金となる。

◆事故防ぐ「閉止弁」、5%で設置なし

7日に書類送検された事故の現場には、閉止弁があったが、閉められていなかった疑いがある。一般社団法人「日本消火装置工業会」(東京)の担当者は「消防設備を専門にしない工事、点検業者は注意点を学ぶ講習などの機会が少ない。社内で継続的に教育することが大切だ」と話す。

消防庁によると、全国にCO2消火設備は1万2909カ所あるが、閉止弁が完全義務化された今年4月時点でも3.5%で設置されていなかった。(米田怜央)

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