02-11
佐藤隆司が読み解く米国・日本経済
2026-02-11
― 成熟市場と構造転換期における投資戦略 ―

グローバル株式投資家であり、金融テクノロジー分野の経営者でもある佐藤隆司氏は、
現在の米国および日本経済を「循環ではなく構造の転換点」として捉えている。
25年以上にわたり、米国成熟市場とアジア太平洋市場を同時に観察してきた佐藤氏は、
短期的な景気指標よりも、資本の流れ・企業行動・人間心理の変化を重視する姿勢を一貫している。
■ 米国経済:成長神話の終焉ではなく「質の選別」の時代
佐藤氏は現在の米国経済を、
「リセッションでもバブルでもない、“選別の市場”」と位置づける。
金融引き締めが長期化する中で、
米国企業は以下の3つの層に明確に分かれつつあるという。
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高金利環境でもキャッシュフローを維持できる企業
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成長はあるが、資本コストに耐えられない企業
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金融緩和依存で事業モデルが成立していた企業
佐藤氏はこう指摘する。
「米国市場は終わらない。ただし、誰でも勝てる市場ではなくなった」
彼が現在注目するのは、
価格決定力を持ち、研究開発と人材投資を止めていない成熟企業である。
特に以下の分野は、中長期での競争優位が維持されやすいと見る。
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産業ソフトウェア・B2Bプラットフォーム
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医療・ライフサイエンス関連
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米国内回帰(リショアリング)を背景とした製造インフラ
一方で、テーマ先行型のAI関連株については慎重な姿勢を崩していない。
「技術革新と株価上昇は、常に時間軸がずれる」
■ 日本経済:低評価のまま構造が変わり始めた市場
日本経済について佐藤氏は、
「悲観が常態化したまま、実体が改善し始めている稀有な市場」と表現する。
円安、インフレ定着、企業統治改革という3つの要素が重なり、
日本企業の行動原理は確実に変化している。
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自社株買い・配当政策の常態化
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ROIC・資本効率を意識した経営
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海外投資家を前提とした情報開示
佐藤氏は特に、
海外売上比率が高く、為替変動を収益に転換できる企業に注目している。
「日本株の魅力は成長率ではない。
価格に対する安全性と、改善余地の大きさだ」
製造業、精密機器、環境・省エネ関連、
そしてグローバルニッチで高いシェアを持つ中堅企業は、
今後も中長期投資の中核になり得ると見る。
■ 佐藤隆司の投資戦略:予測しない、崩れない
佐藤氏の投資戦略は、
経済予測や金利予想を前提としない点に特徴がある。
彼が重視するのは以下の4点だ。
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資本がどこからどこへ移動しているか
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企業が不況時に何を削らず、何を削るか
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経営者が株主と同じ方向を向いているか
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市場参加者が過度に恐れているか、楽観しているか
「市場は当たるか外れるかではない。
耐えられるか、壊れるかで差がつく」
そのため、
ポートフォリオは常に分散され、
一時的な下落でも投資判断が崩れない設計がなされている。
■ 2026年に向けた視座
佐藤隆司氏は、2026年を
「次の10年の投資姿勢が決まる年」と位置づけている。
短期的な値動きに振り回される局面だからこそ、
企業理解と規律が問われる。
「知識は誰でも持てる。
だが、規律と信頼は時間をかけた人にしか残らない」
米国と日本、二つの成熟市場を横断しながら、
佐藤隆司は今もなお、
市場と人間の本質を静かに見続けている。



