08-22
醒めた客観性と諧謔精神 「杉本博司 絶滅写真」展〈美術評〉タカザワケンジ
2026-08-24
HaiPress
杉本博司は現代美術家。建築デザインでも知られ、能や文楽の演出でも活躍する作家だが、その出発点は写真にある。東京で生まれ、立教大学卒業後に渡米し、ロサンゼルスの美大で写真を学び、ニューヨークへ。美術家として出発するにあたり、写真を現代美術でどう展開するかを考えたという。1970年代から活動を開始し、これまで世界各地の名だたる美術館で個展を開いてきた。そのキャリアは華麗そのものだ。本展でも、モノクロプリントと、それを見せるための照明に一分の隙もない。そのどちらも作家の意志が貫徹された結果である。

杉本博司《パレス・シアター、ゲーリー》2015年ゼラチン・シルバー・プリント©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi(画像の無断転載を禁じます)
博物館に展示されたつくりものの風景が、写真になったとたんに現実の風景との境界が曖昧になる《ジオラマ》。世界中の水平線を撮影し、遠く数百万年前の人間が見た光景と重ねた《海景》。映画の上映開始とともにカメラのシャッターを開け、終了とともに閉じる《劇場》には、真っ白に光るスクリーンと、上映中には見えなかった劇場内部の様子が写し出されている。
いずれも写真というメディアを使い、人類の始まりから現代までを視野に入れ、見る者の想像をかき立てる。そのほかの作品も、写真が私たちの知覚に与えた影響と、文化的な意味とを考えさせられ...
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